吉水神社の御由緒
吉水神社は奈良県吉野郡吉野町吉野山に位置し、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録されています。
社伝によれば、白鳳年間に役行者(役小角)によって金峯山寺の僧坊・吉水院として建立されました。文治元年(1185年)には、源義経が弁慶や静御前とともに身を潜めた場所として知られています。
南北朝時代には後醍醐天皇が行宮を設け、南朝の皇居として使用されました。明治時代の神仏分離により吉水院は吉水神社として再興され、現在に至ります。
吉水神社の御祭神
後醍醐天皇と、その忠臣であった楠木正成公、吉水院宗信法印を祀っています。これらの神々は日本の歴史において重要な役割を果たした人物であり、多くの参拝者から崇敬を集めています。
多くの神社での参拝方法は『二礼二拍手一礼』ですが、吉水神社の参拝方法は少し変わっていて、『二礼十七拍手一拝』です。
十七拍手するのは、天地開闢の際に最初に現れた造化三神をはじめとする別天津神の5柱と、それに続いて現れた神代七代の15柱の、経17柱の神々に拝謝を表すためです。
四拍手を4セット+一拍手する間に、まずは神様への感謝の気持ちを伝え、最後に自分のお願いを伝えます。
吉水神社の御利益
吉水神社は、歴史的な背景から、国家安泰や武運長久、学業成就などのご利益があるとされています。また、境内から望む「一目千本」と称される桜の景観は、心身の癒しや美的感覚の向上にも寄与すると言われています。
吉水神社の詳しい所在地
- 住所: 〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山579
- アクセス: 近鉄吉野線「吉野駅」からロープウェイで「吉野山」駅下車、徒歩約35分
- 駐車場: 専用駐車場あり
- 参拝時間: 開門 9:00、閉門 17:00(書院拝観・授与品・御朱印等受付業務は16:30まで)
- お問い合わせ: TEL: 0746-32-3024(9:00〜17:00)
※繁忙期以外は、境内への車の乗り入れが可能です。通りから鳥居をくぐり、その先の階段の脇のスロープ上にタイヤを乗せる形で登って門をくぐると一目千本の場所に駐車できます。駐車台数は3~4台程度です。鳥居や門、その間の道もかなり狭いため、運転に自信がない方は近くの有料駐車場に入れて歩くのが無難です。
サクナダリの感想
吉水神社は、歴史的な遺構と美しい自然が融合した素晴らしい場所です。特に、春の桜の季節には「一目千本」と称される見事な景観を楽しむことができ、訪れる価値があります。また、源義経や後醍醐天皇ゆかりの地として、歴史ファンにもおすすめのスポットです。境内は静かで厳かな雰囲気が漂い、心身ともにリフレッシュできる場所だと感じました。
また、別天津神と神代七代の17柱を全て祭ってあるのは吉水神社だけではないでしょうか。非常に特別な神様なので、別天津神と神代七代について、少しだけ説明しますね。
別天津神
別天津神は天地開闢の時に最初に現れた神々で、天之御仲主神(あめのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、神産巣日神(かみむすびのかみ)、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)、天之常立神(あめのとこたちのかみ)の5柱です。天之御仲主神、高御産巣日神、神産巣日神の3柱を造化三神(ぞうかのさんじん)と言います。
神代七代
神代七代は別天津神に次いで現れた12柱の神々です。初代と2代目は男女の性別のない独神(ひとりがみ)のため1柱で1代、3代目以降は性別があり、双神(ならびかみ)として男女対で1代です。
初 代:国之常立神(くにのとこたちのかみ)
2代目:豊雲野神(とよくもののかみ)
3代目:宇比地邇神(うひぢにのかみ)・須比智邇神(すひぢにのかみ)
4代目:角杙神(つぬぐいのかみ)・活杙神(いくぐいのかみ)
5代目:意富斗能地神(おおとのぢのかみ)・大斗乃弁神(おおとのべのかみ)
6代目:淤母陀琉神(おもだるのかみ)・阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)
7代目:伊邪那岐神(いざなぎのかみ)・伊邪那美神(いざなみのかみ)
最後の7代目は国産みで有名ですね。別天津神は伊邪那岐神と伊邪那美神に国産みを命じてお隠れになりました。お隠れとはどこかへ行かれたという意味と、亡くなられたという意味があります。
実際、別天津神は国産みを命じて以降、記紀にもほとんど出てきません。特に宇摩志阿斯訶備比古遅神と天之常立神は現れた時の描写依頼、一度も記載がなく、謎に包まれた神様なのです。
このような特別な神々を祀った吉水神社では、訪れる者に強烈なパワーやインスピレーションを与えてくれることでしょう。
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